股関節痛

股関節痛の原因と種類

1,腰の問題によるもの

・変形性腰椎症
・腰椎椎間板ヘルニア
・脊柱管狭窄症など

2,関節包などの問題によるもの

・関節包のゆがみ
・靭帯
・関節唇のゆがみなど

3,関節軟骨の問題によるもの

・関節軟骨の摩耗・損傷など

4,筋肉の問題によるもの

・股関節の問題による筋の痙縮
・筋の柔軟性欠如など

5,仙腸関節の問題によるもの

・関節の柔軟性の減退
・関節の靭帯の骨化など

6,股関節の形の問題によるもの

・関節の形成不全
・先天性股関節脱臼など

※股関節の痛みでも、原因は股関節だけでなく周囲の問題でも痛みが生じることがあります。
また、状態によっては上記の原因が複合的に合わさって痛みを生じている場合もあります。
骨格の形状の問題により、男性より女性の方が多く起こりやすいのも特徴です。

施術方針

1,腰の問題によるもの

股関節の痛みは、股関節自体が悪くなくても股関節周囲に痛みとして現れる場合があります。そのひとつが腰の問題によるものです。変形性腰椎症や腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などによって、腰から出てくる神経が圧迫を受けると、その神経の走行上に痛みが生じます。こうした神経痛が股関節周りに出ることにより、股関節の痛みとして現れてきます。
また、神経痛だけでなく腰椎の病変により、関連痛として股関節周りに痛みが出る場合もあります。これらの場合、腰自体に痛みがなくても、股関節周りだけに痛みが生じる場合があります。痛みの場所が、触ったり押したりしてもはっきりしないような場合は、腰からの影響を考慮する必要があります。

関連疾患など:変形性腰椎症、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など

2,関節包などの問題によるもの

股関節を形づくる、関節包や関節唇、靭帯などのゆがみによって生じる痛みです。関節包や関節唇、靭帯には神経が通っているので、ゆがみが生じるとこれらが一方的に引っ張られ、痛みが生じます。これらが損傷し炎症がおこると、安静時でも痛みを感じるようになります。これらの場合、ある一定方向に股関節を動かすと、ゆがみにより引っ張られ痛みが生じます。炎症もゆがみが原因なので、ゆがみを修正していくことで炎症も治まり、痛みも軽減していきます。

関連部位:関節包、関節唇、靭帯

3,関節軟骨の問題によるもの

関節の軟骨は関節面の動きを良くするためにあるのですが、過度に負荷がかかることにより、関節軟骨が擦り減ってきます。軟骨自体には神経は無いので、擦り減っただけでは痛みは出ないのですが、摩耗した関節軟骨の破片が関節内で異物として滑膜などを刺激し、炎症を起こすことによって痛みが生じるようになります。関節軟骨が擦り減ってしまうと、軟骨の表面が荒くなり摩擦が増えるため余計に摩耗しやすくなるという悪循環に陥ってしまいます。
また、軟骨には血管が直接分布していない為、修復が難しい場所でもあります。股関節周りの緊張を取り、股関節への圧迫力を減らし軟骨への負担を軽減していくと共に、股関節周りの血流を改善させ、軟骨の栄養源である関節液の循環を良くすることにより痛みの改善を目指します。軟骨自体、修復がかなり難しい場所です。すぐに効果が出にくい場所であるため、長期的な治療が必要となってきます。

4,筋肉の問題によるもの

股関節に問題が起こると、股関節を保護する為に周りの筋肉が緊張します。これを防御性収縮といって、身体にとっては必要な反応です。しかし、これが長期間続くと、痙縮(スパズム)と言って筋肉が常に収縮している状態になってしまいます。更にその状態が続くと筋肉自体が傷み、痛みの原因になります。
また、筋肉の緊張が高まっている状態では、股関節の安定化という意味では良いのですが、股関節自体に圧迫力がかかる為、関節軟骨への圧力を高め、軟骨の擦り減りが進んでしまうことにもなります。長期間続く股関節痛の場合にはこのように痛みの悪循環に陥っていることがあります。まずは筋肉の痙縮を抑え、過度の緊張を取り除いてやります。
ただこの場合、股関節自体にも問題があることが多いので放置しておくと、筋肉の緊張が強まり痛みが出てしまいます。定期的に過度になってしまう筋肉の緊張を取ることで、痛みのコントロールをしていき、関節軟骨などの股関節自体の問題へのアプローチが必要になります。股関節を動かすための筋肉も数多くあり、腰から大腿部まで広範囲な施術が必要になります。

関連筋肉:大臀筋、中臀筋、大腿筋膜張筋、上・下双子筋、内・外閉鎖筋、大腿方形筋、梨状筋、腸腰筋、薄筋、縫工筋内転筋群、大腿四頭筋(直筋)

5,仙腸関節の問題によるもの

仙腸関節は骨盤を構成する背中側の平たい仙骨と周りを囲むようにある腸骨の間の関節です。仙腸関節の関節自体の動きはそれほど大きくはないのですが、歩行時など、足を動かす時に生じる骨盤への捻じれを吸収・分散させる役割があります。この仙腸関節ですが、青年期に入ると以後は加齢と共に関節包が次第に線維化して、動きづらくなってきます。70歳までに約10%の人で仙腸関節の靭帯が骨化し融合関節になると言われています。仙腸関節はこのようにだんだん硬くなりやすい関節です。仙腸関節が動きにくくなってくると、歩行時の骨盤にかかる捻じれが分散されず、股関節にかかる負担が増え股関節を傷めやすくなることが考えられています。
また、股関節が悪いがために仙腸関節への負担が増加し、変性が進みやすいという悪循環も考えられます。だからと言って、仙腸関節が柔らかければいいかと言うと、妊娠中の女性ではホルモンの働きによって仙腸関節が緩み、骨盤の安定性が弱くなるので腰痛を引き起こしやすくなります。なので、仙腸関節は適度な柔軟性と保持力が求められる所でもあるのです。ただ、股関節を痛めている方は大抵痛みにより緊張が強くなり、仙腸関節の動きが悪くなっていることが多いです。股関節への負担を減らす為にも、仙腸関節の柔軟性を付けていくような施術をしていきます。

6,股関節の形状による問題

股関節の形状は、太ももの大腿骨の丸い頭が骨盤にある受け皿の中にはまっているような状態です。ただこの受け皿になっている「臼蓋」の被りが産まれながらに浅い方がいます。この被りが浅いと、股関節をしっかり支えられない為に負担がかかりやすく、痛みが生じやすくなってしまいます。特に乳幼児の時などに先天性股関節脱臼などの診断を受けたことがある方は要注意です。
ただ、股関節の形状が問題ならどうしようもないのかというとそうでもありません。もともと臼蓋の被りが浅い人でも痛みが出ない人もいるからです。臼蓋が浅いと不安定になる為、股関節を傷めやすいのですが、上手く周りの組織が支えていれば痛みは生じません。股関節周りの筋肉や靭帯に疲労が溜まり、支えきれなくなって痛みが生じてしまうのです。股関節周りの疲労を軽減させ、股関節をしっかり支えられるようにしていきます。ただ、痛みが強い場合は炎症が起きている為、すぐには改善しにくい場合があります。また、長期間痛みが継続している場合は、関節軟骨やその他周りの組織の損傷がある場合もあり、他の治療と合わせて診ていく必要があります。


股関節痛の場合は放っておくと変形等、不可逆的な状態になりやすい場合が多くあります。
また既に変形を伴っていたとしても、上手くコントロールしていけば、痛みの軽減など手術を避けられる場合もあります。
股関節痛は思った以上に日常生活に影響が出やすい症状でもある為、あまり我慢せず早めの対処が予後に影響を及ぼします。

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